目にちょっとした不快感や、気になる症状はありませんか?
もしかしたら、ドライアイかもしれません。
ドライアイとは
ドライアイは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気です。
様々な要因により涙が不安定になる疾患で、目の不快感や視機能の異常を生じ、目の表面に傷を伴うことがあります。
ドライアイの症状は、目の乾きからだけでなく疲れ目から痛みまで様々です。
それが単なる不調なのか、眼球の表面に障害が起きているためかは、検査なしに判断することができません。
放置しておくと、知らないところで症状が悪化し、合併症を引き起こします。
涙は目を守るための大切なもの
「涙」は目の表面をおおい、目を守るバリアのような働きをしています。
ドライアイの要因には様々なものがありますが、とくにパソコン、コンタクトレンズ、エアコンなどを使用することで涙が蒸発しやすく、不安定になり、目の表面の細胞を傷つけてしまいます。
また、「まばたき」は、涙の分泌を促す刺激となって涙を出したり、目の表面に涙を均等に行きわたらせる働きを担っています。
涙の仕組み
涙は涙腺で作られます。
まばたきの度に目の表面を潤します。
その一部が蒸発し、残りの約90%が涙点から排出されています。
涙の構造
涙(涙液)は角膜上を覆って目(角膜)の乾燥を防いでいます。涙液は、油層、液層 から成り立っており、液層は水分、ムチンという成分が含まれています。
それぞれバランスを保つことで涙の安定性を保っております。
ドライアイの患者は、この涙の状態が不安定になり、涙が蒸発しやすくなったり、眼表面に傷がつきやすくなります。
ドライアイの症状
目の乾燥感だけでなく、異物感・目の痛み・まぶしさ・目の疲れなど、多彩な慢性の目の不快感を生じます。
ドライアイがひどくなると視力の低下も起こります。
ドライアイ チェックシート
次のうち4~5つ以上当てはまる人は、ドライアイかもしれません!
- なんだか目が疲れやすい
- 目やにが気になる
- 目がゴロゴロする
- 目が重たい感じがする
- 目が乾いた感じがする
- 眼に不快感がある
- 目がかゆい
- 目が痛い
- 涙がすぐ出る
- モノがかすんで見える
- 光をみるとまぶしい
- 目がいつも赤い
医院での検査
視力検査・眼圧検査
眼科で行われる最初の検査です。
視力測定からドライアイだけではなく他の疾患がないかを探ります。
目の傷の有無・程度を探る顕微鏡検査
診察室で目の表面の傷を見る検査です。
フルオレセインという黄~橙色の試薬を点眼すると、角膜(黒目)の傷のある部位が染まります。
細隙灯顕微鏡で染色部を観察しながら、傷の有無や程度をチェックします。
写真で緑色に濃く染まっていると、角膜表面に傷ができていることが確認できます。
涙の質を調べるBUT検査
涙がたくさん出ても質が良くないために目の表面がすぐ乾くこともあります。
涙の質を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間(BreakUpTime)を測ります。
BUTが5秒以下の場合、ドライアイが疑われます。
写真はドライアイで治療が必要な目の一例です。
黒く抜けている部分が、涙の膜が破壊されている箇所です。薄い緑が目の表面の涙の膜、濃い緑の点が乾いて角膜表面に傷ができていることを表しています。
蒸発亢進型のドライアイがあり点状角膜炎を認め、治療が必要な目です。
涙の量を調べるシルマー検査
涙の量を調べる検査で、目盛りのついた専用の試験紙を下まぶたの端に5分間挿入します。
試験紙が涙で濡れた長さで涙の量を測ります。
涙の量が5mm以下の場合ドライアイが疑われます。
ドライアイの治療
点眼治療
症状が軽い場合は、潤いを持たせる点眼薬で緩和させることができます。
人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分を分泌促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)が用いられます。
プラグ治療
点眼薬だけでは症状をコントロールできない方に行います。
涙の出口である涙点に栓(涙点プラグ)をして、涙の生理的な排出を人為的に遮断するような治療を行うこともあります。プラグの大きさや材質など、いろいろなものが開発されています。
涙点プラグ治療は、眼の表面を潤した涙が排水される「涙点」に栓をする治療法で、点眼麻酔下での簡単な処置で行うことができます。
左右の目の目頭側には上下に涙点があります(涙の仕組みの項の図を参照)ので、そこに栓をすることで涙の排出を抑え乾燥を防ぐ治療です。
a)シリコン製涙点プラグ
シリコン製の栓の形をしたプラグを涙点に差し込む、という処置です。
その人に合ったサイズを確認して合うサイズのプラグを挿入します。
当院では、イーグルプラグ(イーグルビジョン社製)を使用しています。
栓をしているだけですので抜けてしまうこともありますが、脱落しなければ半永久的に使用できます。
また、栓の部分が他の部分との接触を繰り返す(擦れる)と異物感を感じることもあります。
稀にプラグの効果が効きすぎて治療後に涙があふれてしまうようになる方がいらっしゃいます。
そのような不具合を感じてもプラグを抜けば、元の状態に戻すことができます。
b)コラーゲン製涙点プラグ
コラーゲンプラグという薬剤を涙点内に挿入する方法もあります。
こちらは体温で固まるコラーゲンを涙点の中に注入するだけです。
シリコン製涙点プラグのような脱落の恐れがなく、また異物感が出にくいため、初めてプラグを使う方にも安心してお使い頂ける点がメリットとなります。
ただ、コラーゲンプラグの場合には徐々に分解されてしまいますので、1-3ヶ月程度で元の状態に戻ってしまいます。
当院では、キープティア(株式会社高研製)を使用しています。
コラーゲン製涙点プラグでは定評があり、高い国内シェアを持つ製品となります。
悪化要因の除去
長時間のVDT作業(パソコンの画面を見続けること)や運転では、瞬きの回数が減るのでドライアイ症状を悪化させます。
意識して瞬きをすることと、適度の休みを取ることが目の健康に重要です。
コンタクトレンズ装用でドライアイが悪化する場合は、装用時間を減らすことも一つの手です。
当院では、「点眼治療」「プラグ治療」を行っています。
ドライアイでお悩みの方はご相談ください。